リシャルリソン:背番号10を背負い、金メダルを目指す

2021年7月30日

  ・男子サッカー競技得点ランキング首位を走る   ・ネイマールに説得されて背番号10を要求することに   ・ロナウド、ロマーリオ、エジプト戦、タトゥーについても言及

その電話がかかってきた際、24歳の男は自宅で友人とテレビゲームに熱中していた。内容は幼いころから夢にまで見た舞台への招集だった。電話を切ったのち、大喜びする彼の横にいた友人は、要望を伝えるためにその電話相手にもう一度かけ直すように促した。

友人とは、現ブラジルA代表のエースで世界的スーパースターのネイマール。そして電話を受けた本人リシャルリソンは、監督のアンドレ・ソアレス・ジャルジネに即座に掛け直した。そして、過去にリバウドやロナウジーニョ、ネイマールといった選手が着けてきた栄光の「背番号10」を要求。指揮官はこれを二つ返事で承諾する。こうして10番を背負った男は、現在東京2020で鮮やかに躍動している。

FIFA.comは、目下得点ランキング首位を走るリシャルリソンとのインタビューを敢行。彼はオープンに、興味深い話を披露してくれた。

FIFA:まず、伝統の10番の背番号を着けることになった背景を聞かせて頂けますか。 リシャルリソン:実は、元々は7番を要求するつもりでした。エバートンでも、A代表でも7番ですから。ところが、ジャルジネ監督から電話をもらったときに、たまたまネイマールと一緒にテレビゲームをしていました。そして電話が終わるとすぐに、ネイマールが「お前が10番を着けて活躍できる男か見なくちゃな!」と言ってきたんです。 ブラジルのオリンピック代表の10番が、特別な意味を持つのは誰もが知っていること。重大な責任を持つ背番号で、勝利を強奪するようなスーパープレーをできる選手じゃなくてはいけない。でも僕のアイドル……ブラジル国民のアイドルである“あの”ネイマールに言われたわけですから、聞かないわけにはいきません。そして監督に電話を掛け直して、10番をくれますかって聞いたら、承諾してもらえたんです。ネイマールは心底喜んでくれました。 もちろん、彼は僕のことをよく知っているし、ヨーロッパのクラブでプレーしていることも熟知しています。僕がその大役を担えると思ったからこそ、発破をかけてくれたのでしょう。彼の言ったとおりにして良かった。正しい選択ができたと思います。ネイマール、ペレ、ロナウジーニョ、ジーコ、ほかにも数多くのレジェンドが着けてきた10番を背負っている。とても光栄なことです。 大会中もネイマールとは話していますか? イエス。年がら年中話していますよ。試合前には必ず激励のメールが届きますし、試合後にも必ずメッセージをくれます。ネイマールはいつも、リオオリンピックでの金メダルがどんなに素晴らしかったを話してくれて、東京でも絶対に金メダルを持ち帰ってほしいと言ってくれます。セレソンの中でも一番仲良くしてくれて、面倒を見てくれるんです。どこにいても僕らオリンピック代表の試合を見てくれているから、誇りに思える後輩だと言ってもらえるよう、必死に頑張っています。

オリンピックのブラジル代表で、一大会の最多得点記録保持者はロマーリオ。ソウル1988で7ゴールという数字でした。キミはその記録まであと2まで迫っています。追い越せると思いますか。 最重要課題は、チームメイトと一緒に金メダルを勝ち取ること。得点王はあまり関係ありません。もちろん、ロマーリオは世界的にも知られるレジェンドだし、ブラジルでもヒーローです。だから金メダルを取って、同時に彼の記録を抜ければ、それは非常に光栄なことになるでしょう。僕にとっても家族にとっても、そして一緒に戦うチームメイトにとっても最高の達成にもなると思う。 わずか2カ月強の間に、キミは3つの異なった大陸で行われた4大会に出場しています。ちょっとクレージーなくらいに思えるけど、サッカーがそれほど好きなのか、ブラジル代表のシャツがそれほど好きなのか。 ただ単に、すべてにおいてクレージーなんですよ!(笑)サッカーに対しても、セレソンのシャツに対してもクレージー。ホリデーを返上して、家族とゆっくりできる唯一の時間を返上してまで、オリンピックに参加しました。最後に家族と長い時間を過ごしたのは、もう2年以上前のことになりますね。 コパ・アメリカの直後にブラジルまで会いに行ったけど、2日間しか滞在できませんでした。しかも母親にも会えませんでした。お母さんは新型コロナウイルスにかかっていたから、30メートル以上離れていなくてはいけなかった。ハンドサインでコミュニケーションを取ったくらい。でもこうして10番のシャツを着てオリンピックでプレーしている。得点まで決めているから、家族は誇りに思ってくれているはずだし、まるで後悔はしていません。

疲れてはいませんか。 僕はまだ24歳。だから答えはもちろん「ノー」! シーズンは大変だったけど、それでも疲れたりはしていません。フットボーラーという、誰もが夢見る仕事をさせてもらっているんです。とても幸運には思うし、疲れなんて全然感じませんね。休むのは引退してからで十分。先日の試合でもジャルジネ監督から「交代するか?」って聞かれたから、「ノー!」って答えました。そのあとに2点決められたし。各試合の間には最低2日休める時間があるから、問題ありません。 ファイナルが行われるのは横浜国際総合競技場になります。2002年の日韓ワールドカップ™でのロナウドの活躍はどう思いますか。 “フェノーメノ(怪物)”ロナウドは横浜の地で歴史を作りました。あのスタジアムに着いてまず目に入ったのが、ドイツ戦でプレーしていたフェノーメノの写真でした。ブラジルが世界王者になって、国民的アイドルだったサッカー選手がゴールを量産したんです。写真を見て特別な感情が込み上げてきました。 あの時、ロナウドはあの有名なヘアスタイルでファイナルに臨みました。東京オリンピックで決勝戦に進出したら、独特な髪形で登場しますか? リシャルリソン:マテウス・クーニャがチームに帯同してくれている床屋さんだから、彼に直接聞いてください! 個人的には自分の髪形をそんなにいじるほうではないから、チームメイトの決定に従います。まずはファイナルにたどり着いて、それから決めます!

準々決勝の相手、エジプトをどう見ていますか。 エジプトは強敵です。オリンピック前の親善試合で対戦した時には、1-2で負けています。難しいグループを抜けて決勝ラウンドに進んできたわけだし、タフな試合になることは間違いありません。全力で試合に集中し、きっちりゴールを奪って勝ちたいです。 それでは最後に、金メダルはリシャルリソンにとってどんな意味を持ちますか? すべてです。タトゥーを入れようなんて考えたことは一度もなかったけど、もしブラジルが金メダルを取ったら、絶対にタトゥーを入れるつもりです。自分の成した栄光の記念として。金メダルは、歴史上に名前が残せる最高の意味合いを持ちます。